国公私立高専合同説明会「KOSEN FES2026」が、東京会場(6月28日)と大阪会場(7月12日)で開催された。
東京会場には関東地区を中心に35高専が参加し、個別相談会、や模擬授業のほか、現役高専生・卒業生によるトークイベント、科学教室、入試問題解説など多彩なプログラムを実施。各校は今後、予定されている体験入学や体験授業、キャンパスツアーなどを紹介した。約870組・1500人の小中学生と保護者が来場し、高専に対する関心の高さがうかがえた。主催は(独)国立高等専門学校機構。
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多くの小中学生と保護者が参集した
(独)国立高等専門学校機構(以下、高専機構)の中島英治理事長は「高専は理工系人材育成の観点から現在、国会でも取り上げられるほど社会的関心が高まっている。AIも含めたものづくりを重視した教育体系が評価されており、理系進学において学費が最もリーズナブルな選択肢ともいわれている。タイやエジプトにも高専があり、高専生には海外経験の機会も広がっている。今日は会場内に多くの高専の教職員や学生が控えている。高専の学びについて気軽に聞いてほしい」とあいさつした。
国公私立の高専は現在58校(国立51、公立3、私立4)。さらに2028年度には滋賀県に、2029年度は愛知県と福岡市に開設予定。
高専には制服がない、休みが長いなど、普通高校と異なる点も多い。これは高専が早期から専門教育を行うカレッジという性質をもつ教育機関であるためだ。
高専では「何ができるようになるか」を意識した教育を重視し、「クリエイター」「イノベイター」「ソーシャルドクター」の育成を目指している。
このうちソーシャルドクターとは、高専機構が「社会の定義を発見し、技術で解決し、地域や産業を支える技術者」と定義しているものだ。
毎年約1万人の高専卒業生は企業から高い需要がある。なかでも近年、特に企業ニーズが高いのがFDE(=Future Design Engineer:未来設計技術者)である。
FDEはソーシャルドクターの理念を具体化した高度技術者で、現場の課題発見から技術選定、試行錯誤、解決までを担う。
高専機構によると、FDEの求人倍率は約800倍に達するという。
国立高専の入試は学校ごとに試験日が異なる。試験科目は全国統一で、受験料も比較的安価であり、1回の学力検査選抜入試で複数の高専を志望できる制度もある。
例えば「商船学科複数校志望受験」「北海道内4高専複数校志望受験」「東北地区複数校志望受験」「広島県内2高専連携入試制度」「連携高専による追選考制度」などだ。
なお国立高専は全校に寮を設置。全国から学生を受け入れる体制を整えている。
会場内では各校主催の実験教室や展示、学校紹介を通して各校の特長をアピールしていた。
金沢工業大学国際高専では、1、2年次は全寮制で学び、3年次は全員がニュージーランドに1年間留学する。国際バカロレア(IB)教育を取り入れる唯一の高専だ。英語による授業や探究学習を重視しており、国際的なエンジニア教育を目指している。
小山工業高専では、2008年に制作した二足歩行の骨恐竜ロボット「SUPERザウルスくん」を展示。インパクトと愛嬌のあるザウルスくんは制作以来、同校の学生に愛され続けており、さまざまなイベントに参加している。
頭や胴体の骨格に使用されているスポンジは同校を支援する企業から毎年寄贈されているもので、これを活用してロボット制作を行うのが伝統であるそうだ。なめらかな骨格はヤスリを用いて成型された。
同校には関東唯一の建築学科もある。ここに所属している女子学生は「オープンキャンパスで見た建築学科の模型に興味をもって入学した」と話した。折り紙などものづくりが好きだったようで、内装系の建築業界に内定しているそうだ。
スーパー高専とは県内の高専同士が統合してできた、学科数・学生数の多い再編型高専だ。全国に次の4校がある。▼仙台高専 ▼富山高専 ▼香川高専 ▼熊本高専
このうち富山高専は、富山商船高専と富山工業高専が統合。練習船「若潮丸」には最新のAI航海支援システムや海事DX対応のデジタル操船システムなど練習船として全国トップレベルの装備が搭載されている。
高専の卒業生3人が登壇したトークセッションでは、高専時代の学びが現在にどう活かされているのかを報告した。

高専の卒業生が登壇
秋田高専から東北大学に推薦で編入した斎藤さんは、在学中は英語とインターンシップに注力。留学生とも英語で交流し、留学経験はないがTOEICスコア890点まで達成。英語プレゼンテーションコンテストで全国大会にも出場した。
同校は「グローバルエンジニア育成」を掲げ、全国高専の中でも突出して英語教育に力を入れており、1年生から英語中心のプログラムを展開。英語で行う生物工学実験や数学などでTOEICスコアも全国高専の平均点を上回っている。
斎藤さんは物質生物系を専攻。高専で早期から専門教育を学ぶため、大学の内容が簡単に感じることもあるという。レポートの書き方も高専時代に学んだ。なお東北大学への推薦編入は、学年成績上位者(概ね3位以内)が対象となるそうだ。
釧路高専から長岡技術科学大学に編入した南さん。高専時代は2年から機械工学を専攻。3年次の春休みにはベトナム、4年次にはタイに留学した。同校には日本人と留学生が共同生活を行う国際寮もある。
長岡技術科学大学は高専卒業生の3年次編入を前提に設計された大学で、約8割が高専出身だ。約5か月間の長期インターンが必修。さらに5年一貫制博士課程(技術科学イノベーション専攻)で高度技術者・研究者育成を図っている。
現在ソフトバンク勤務で社内システムの開発を行っている上村さんは、中学生時代から理系希望で、高専で各種コンテストに挑戦し、実績を積み上げようと考えた。
高専プログラミングコンテストでは3位を獲得。就職活動では受賞経験をアピールした。
高専時代の成績は学年の中ほどだったと話すが、現在の業務では大学院生と同等、あるいはそれ以上の評価を得ることもあると語った。
鳥羽商船高専は全国に5校ある商船教育を行う学校の一つ。
3年次に航海コース(操船・運航)と機関コース(エンジン・機械)に分かれる。
卒業後は三級海技士(航海)の筆記試験が免除され、約1年間の大型練習船による長期実習がある。
近年は海事産業のデジタル化に対応しており、商船教育と情報工学を組み合わせた海事DX人材の育成に取り組んでいる。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2026年8月24日号掲載