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初期の読書の「質」と「環境」を問う~東京大学CEDEP×ポプラ社 共同研究プロジェクト

2024年3月18日

CEDEP(東京大学大学院教育学研究科附属発達保育実践政策学センター)とポプラ社による「『子どもと絵本・本に関する研究』プロジェクト」は2月28日、東京大学本郷キャンパスでシンポジウム「『絵本・本』の新たな可能性をひらく〜デジタル時代の子どもの読書環境のためにできること〜」を開催。5年間にわたる本プロジェクトの総括的なものとして、これまでの研究成果をまとめ、絵本・本と子供たちの関わり方、デジタル環境の実態、発達との関連について紹介した。


■子供の成育環境の変化を調査

2019年8月からスタートした本プロジェクトはコロナ下での研究でもあった。その間、子供たちを取り巻くデジタル環境は一気に広がった。遠藤利彦東京大学大学院教授・CEDEPセンター長は「絵本と本は今後どうあるべきかを考え、新しい形を模索するべきタイミングと思う」と話す。

共同研究では、これまで絵本・本の価値―子供の言語発達や、対人・感情面での発達に良い影響を与える―を背景に、子供の成育環境の変化を調査。家庭の蔵書数や読み聞かせの時間、スクリーンタイム、保育・幼児施設の蔵書数、公立図書館と保育園・幼稚園、学校などの教育施設との連携などについて明らかにしてきた。

また、紙とデジタルの「読み」について検証し、そのベストミックスについても積極的に議論してきた。今回のシンポジウムででは、2つの研究報告と指定討論が行われた。


■デジタルメディアの使用が読書時間に置き換えられているわけではない

大久保圭介CEDEP特任教授の研究報告「子どもの読書/デジタル環境の実態と発達の関連」によると、2022・2023年度に保護者調査を実施。960名の保護者の協力を得た。調査の中では電子書籍について質問している。電子書籍は、幼児は「使用していない」が96%、「5分以上の使用」4%。小学校低学年は「使用していないが」90%、「5分以上の使用」が10%。小学校ではタブレットが配布されているが、それが電子書籍使用にはつながっていないことが分かった。

一方で「読み聞かせ」の時間についても調査している。そこから、デジタルメディア使用時間と絵本・読書時間の相関はほぼないことが明らかになった。デジタルの時間は読み聞かせの時間に置き換えられているわけではない。

「読み聞かせの質」についても調査。読みながら、子供に質問し、子供がそれに答える、さまざまなジェスチャーや声色を使うなどを行うことが、子供の文字の読みや情動理解などにプラスの影響を与えてることも明らかになった。「読み聞かせの仕方」についても、意識を向ける必要がある。


■読書の新たな可能性を開く3つの鍵

佐藤賢輔CEDEP特任教授の研究報告では、これまでの研究成果から、「子どもの読書の新たな可能性を開く鍵」として3つを挙げた。①デジタルメディア・リテラシー…子供と関わる大人が、デジタル・メディア・リテラシーを獲得/アップデートし、子供との関わりに活かす、②子供の読書環境のデザイン…絵本・本へのアクセシビリティを保障する「本との出会い方」、子供のスクリーンタイムの質向上も視野に入れた読書環境とデジタル環境の統合的デザイン、個別最適な学びにつながる読書環境のデザイン、③「子どもと絵本・本」研究の継続。

指定討論は遠藤利彦CEDEPセンター長、秋田喜代美学習院大学教授・東京大学名誉教授、千葉均ポプラ社取締役会長が登壇。秋田教授は「絵本・読書について、大人側がデジタルを含め知識を持つこと」の重要性などについて言及した。

教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2024年3月18日号掲載

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