第55回「学校図書館賞」および第27回「学校図書館出版賞」の表彰式および受賞者発表会が8月8日に東京・千代田区の日本出版クラブで開催された。主催は(公社)全国学校図書館協議会(全国SLA)。学校図書館の振興に著しい業績を示した個人および団体に贈られる「学校図書館賞」は、運動の部・論文の部・実践の部の3部に分けて授賞する。
表彰式のようす
今回は論文の部・学校図書館賞に根本彰氏「事由:『図書館教育論-学校図書館の苦闘と可能性の歴史』の著作」、実践の部・学校図書館奨励賞に高田諒氏「事由:『構成力』をカギとした図書館教育」が受賞した。なお、運動の部、学校図書館大賞、酒井悌賞、岩崎徹太賞、小峰廣恵賞、村松金治賞は該当なし。
また学校図書館向き図書の優良な出版企画に対して出版社を顕彰し、学校図書館向き図書の出版の振興を図る「学校図書館出版賞」は、2024年5月から25年4月末までに発行された図書を対象としている。
特別賞を受賞した『47都道府県ご当地文化百科』
学校図書館出版賞を受賞したのは次の3社。国土社『伝えよう!和の文化お茶のひみつ』(国土社編集部/編、伊藤園(ほか)監修 全4巻 各3740円)、小峰書店『日本の文様ずかん』(並木誠士/監修 全5巻 各3520円)、汐文社『石のふしぎがわかる!岩石・宝石ずかん』(清水洋美/著、柴山元彦/監修 全3巻 各3080円)。審査委員の合議により設けられる「特別賞」として、丸善出版『47都道府県ご当地文化百科』(丸善出版/編 全47巻 各2970円)が受賞した。
小林選考委員長が受賞した図書を紹介
表彰式では、選考報告として、「学校図書館出版賞」で受賞した各書籍の特長や魅力を、選考委員長・全国SLA参事の小林功氏が語ったほか、「受賞のことば」として受賞者である各出版社の担当者が受賞した図書にについて紹介した。
また今回「受賞者発表会」を一般向けにも公開して行われた。学校図書館賞受賞者の根本彰氏は「図書館教育の現代的課題」として発表を行い、学校図書館政策の戦後の流れや現状について解説。現在は「戦後第一期の改革に匹敵する改革期ではないか」と語った。
同奨励賞受賞者の高田諒氏は、学校司書として勤務した京都市立美豆小学校における実践について紹介。学校長との協議をはじめ、教員や図書委員、地域ボランティア、学校司書、教育委員会・行政と連携を図りながらの活動を紹介した。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2025年9月15日号掲載