福岡県のリンデンホールスクール中高学部は、太宰府エリアで「太宰府の歴史遺産ガイド&デジタルスタンプラリー」を2月28日(土)に開催した。
中学1年生から高校1年生までの約50人の生徒が約10か月にわたる探究学習「和魂のたね」の集大成として企画・運営。生徒は英語と日本語を駆使して歴史遺産を案内するとともに、各史跡を巡るARスタンプラリーも行われるなど、地域の魅力発信と、オーバーツーリズム対策として太宰府天満宮以外への観光回遊の促進が目指された。

観光ガイドに挑戦する中学1年生から高校1年生の生徒たち
リンデンホールスクール中高学部では、日本文化を自らの言葉で世界に発信できる人材の育成に向けて、日本文化や歴史を深く学ぶ探究学習プログラム「和魂のたね」に毎年取り組んでいる。2025年度はオーバーツーリズムの課題解決に向けて、太宰府天満宮周辺への来訪が集中し、周辺に点在する歴史的・文化的なスポットが十分に知られていない太宰府フィールドに焦点をあて、約1年にわたって探究学習を実施してきた。なお、この取組は太宰府市が主催する「学生まちづくり課題解決プロジェクト」にも選出された。
5月にはキックオフイベントとして筑紫野市にある天拝山への登山を実施。7月にはフィールドワークとして太宰府の史跡を巡り、文化と歴史に触れた。フィールドワーク実施前には日本経済大学経済学部教授の竹川克幸氏による「太宰府学入門」の講義で歴史や地域創生について学んだ後、フィールドワークでは大宰府史跡解説員の同行のもと史跡を巡った。また、10月には保護者や小学部の生徒に向けて中間報告が行われた。

中間報告では高校1年生の代表生徒が発表
生徒は「太宰府には天満宮以外にも魅力的な場所があるのに、十分に知られていない。自分たちの力で、その魅力をもっと多くの人に伝えたい」という思いから、今回のイベントを立ち上げた。
イベント当日は、生徒が地域住民や海外からの観光客とともに大宰府政庁跡や観世音寺などを巡りながら、史跡の背景や見どころを英語と日本語を使って丁寧に解説。5か所に分かれて2時間で100人以上を案内した。観光客の中には、韓国や中国、マレーシアなどから訪れていた人もいた。

英語も駆使して観光客に対応
各スポットでQRコードを読み取ると生徒たちがデザインしたARフォトフレームが登場し、記念撮影やクイズが楽しめるほか、各所を巡ってデジタルスタンプを集めるスタンプラリーも開催。3か所以上回った人には太宰府名物の梅ヶ枝餅が贈られた。

太宰府ARスタンプラリー イベントMAP
今回の取組では太宰府天満宮だけでなく、大宰府政庁跡、観世音寺、戒壇院、九州国立博物館などを巡る導線を設計。太宰府の歴史を「点」ではなく「面」で体験してもらうことが目指された。参加者からは、これまで知らなかった太宰府の魅力に触れられたという反応もあり、生徒たちにとっても大きな手応えとなった。

<生徒の声>
・ガイドがなかったら気づかずに通り過ぎてしまうところだった、と言っていただけて嬉しかった!
・英語が第一言語ではない方にも伝えられるよう、今後は他の言語も学びたい。
・違う国の方に歴史を紹介する経験を通して、日本についてもっと上手く伝えられるようになりたい。
・普段の勉強で培った英語を活用できるのは嬉しかったが、太宰府の歴史や文化を正しく英訳して伝えるのは本当に難しかった。その分、自分たちで時間をかけて調べながら取り組んだ。
<リンデンホールスクール中高学部 校長 都築明寿香氏>

リンデンホールスクールでは日本ならではの歴史観・文化観を、知識として学ぶだけでなく、自らの経験や言葉として理解することを大切にしています。そして、日本の文化や価値観を「説明できる」「語れる」力を育み、英語やテクノロジーをツールとして駆使して、世界の多様な価値観と対話しながら発信できる人材の育成を目指しています。
そのためにもリンデンホールスクールでは、感性が豊かな学生時代に机上の知識を習得するだけでなく、生徒たちが自ら考え、議論し、「Glocalな視野に立って行動するプロジェクトや実学を重視しています。「和魂のたね」プロジェクトは、日本の「本物」の文化や地元の歴史に触れる体験を通じて、自分たちで表現し、国内外に発信していく機会になればと思っています。