世界の年平均気温は上昇しており、学校では熱中症への対応が求められる中、「2025地球温暖化防止展」が「2025NEW環境展」と併催で5月28日から30日まで東京ビッグサイトで開催された。校庭等に測定器を設置することでどこでも熱中症リスクが監視できるシステム、屋根下に施工することで遮熱効果が得られる特殊アルミなど、学校の熱中症対策への新提案となる製品が出展されていた。
2025地球温暖化防止展の会場の様子
「置くだけ 熱中症監視システム」(㈱チノー)は温暖化で急増する熱中症のリスクに対応。電源不要で校庭や体育館に測定器を置くだけ。ネットワークとつながっているのでデータが直接に監視システムへ転送される。
計測ユニットに取り付けられた黒球により気温+湿度+輻射熱のWBGT(暑さ指数)を測定。厚労省はWBGT指数の誤差を「クラス」として規定しているが、JIS規格の精度区分では高精度のクラス1.5に準拠。収録・監視ユニットは最大1000か所の計測ユニットに接続可能でソフトで一括管理。LTE回線対応のため、クラウドによる遠隔モニタリングでPCやスマートフォンから監視画面を見ることができる。
「クールキャノンエコ・スリム」(NBCエンジニア㈱)は気化を利用して冷やされた空気をさらに熱交換器で冷却することで、大風量の冷風を提供。冷風扇+クーラー+羽のないファンの新機構で少ない電力による送風を実現した。
通常のスポットクーラーは後部から熱が発生するが水で冷却するため排熱が発生しない。オプションのダクトを背面に接続すれば、水が蒸発することで発生する湿気も排出することができる。施工不要のため体育館などに設置可能。100㌾電源と水があれば使用場所を選ばない。日常のメンテナンスはフィルターの掃除のみで汚れたフィルターやクーリングパッドは簡単に取り外しができ、清掃・交換が可能。
「キープサーモウォール遮熱施工」(㈱アイベック)は特殊アルミを屋根の下に施工することで熱の侵入を防ぐ。屋根からの放射熱を反射させ熱を97%カットし、屋内の温度上昇を抑制する。
環境省の環境技術実証(ETV)事業の実験では同規模の建物の片方のみアルミシートを施工。WBGTが28度を超えた時間は、施工無しの建物は770時間だったが施工した建物は413時間で46%も削減された。体育館では夏の暑さ対策や冬の断熱性強化を目的に、空調導入に合わせて施工した事例もある。
校庭の芝生化は、児童生徒の外遊びを促し、気温上昇を抑制する効果があるとされる。しかし導入後の除草作業など維持管理には、教員や主事などが夏場も汗を流しながら取り組んでいる。
「ロボット芝刈り機 DROP AND MOW」(ETG Japan㈱)は、初期設定が不要でボタンを押せば芝刈りを開始する。
コンパクトで持ち運びや保管も容易。カメラとセンサーで芝を識別することが可能で、設置が大変な境界ワイヤーは必要ない。また、充電ステーションも不要で電源工事の必要がないため購入後すぐに使用できる。
ロボット芝刈り機は初期設定や電源工事が不要
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2025年6月16日号掲載