中秋の名月(旧暦8月15日)は、収穫がひと段落して虫の音に包まれながらのんびりと月の出を楽しんだようです。今年の十五夜は10月6日で翌7日が満月でした。十五夜は、唐時代の中国から伝わった月見の催事と、日本古来の月を祭る習わしが合わさり、実りの秋を祝い月に祈りを捧げるものです。
満月に見立てたまん丸の団子やススキを飾り、芋、栗、大豆といった収穫物を添えます。また秋の七草(ハギ、クズ、フジバカマ、オミナエシ、キキョウ、ナデシコ、ススキ)等も飾ります。
10月8日~22日頃は寒露で秋が深まり日も短くなります。「秋の日はつるべ落とし」で、夜はめっきり肌寒くなります。鴻雁来(こうがん、きたる)でツバメと入れ替わりに雁が北から渡って来る頃。菊花開(きくのはな、ひらく)で菊の展示や品評会が行われます。そして蟋蟀在戸(きりぎりす、とにあり)の時期は、虫の音色も室内で響くようになります。
季節の花の彼岸花も満開になり、キンモクセイの香りが漂い、ナナカマドも色づき始めます。旬の食材には各種キノコ(本シメジ、ブナシメジ、マツタケ、舞茸、しいたけ等)と銀杏、アケビや柿、洋ナシも美味しくなります。最近は、菌床栽培の技術が進み、マツタケ以外のキノコはいつでも入手しやすくなりましたが、キノコ狩りも秋の風物詩。魚介類では、秋サバや戻りガツオです。
舞茸を利用し、牛肉のオイスター炒めを作りました。舞茸は1パック(150㌘)と牛切り落とし肉(200㌘)が主材料です。調味料は調合油(大さじ1)、上白糖(大さじ2)、合成酒・本みりん(各大さじ1)、オイスターソース(大さじ2)、濃口醤油(大さじ1/2)です。
材料
油と上白糖
フライパンに調合油を入れ弱火で加熱し、油を全体に広げ上白糖を振りまきます。一口大に切った牛肉を広げて入れ、触れずに1分位中火で焼き、裏返して全体に火を通し取り出します。同じフライパンに小房にほぐした舞茸を入れ弱火で水分を飛ばすように炒めます。カサが半分位になったら牛肉を戻し入れ、酒、本みりん、オイスターソース、濃口醤油を加えよく混ぜ合わせ、汁が無くなる手前で火を止め盛り付けます。
肉を炒める
盛り付け
【食育メモ】舞茸は水溶性と不溶性の食物繊維を含み腸内環境調整に役立ちます。うま味成分や栄養素は水溶性で煮汁ごと食べられ、ポリフェノールも水溶性なので下茹でせず調理でき、舞茸プロテアーゼという酵素の働きで肉を柔らかくしっとり仕上げてくれます。
【著者】フードディレクター・澤坂明美=管理栄養士。女子栄養大学香友会と業務提携し『プロカメラマンとフードコーディネーターに教わる料理写真講座』を継続開催、女子栄養大学認定料理教室等を主宰する。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2025年10月20日号掲載