デザインや動きやすさ、耐久性や夏の気温上昇への対応、学校イメージの表現など、教員や生徒・保護者の制服や体操服に対する要望が多様化している。菅公学生服ではそうした声に応える新たな企画を来期に向けて提案している。
高機能素材で課題を解決
身体をリラックス状態に導く、Phitenの「アクアチタン」を取り入れた制服を提案。
カンコーのスクールウェアをベースにアクアチタンを含侵させた素材を使用し、デザインを大きく変更するフルモデルチェンジと、従来の制服の衿元やスラックスの腰裏にアクアチタンを含浸させたパイピングやテープを使用したり、ネクタイやリボンにはアクアチタンを含侵させたテープを取り入れるマイナーチェンジにより学校ニーズに対応する。
2020年度に共学向けの制服として再スタートしたELLE ECOLE(エル エコール)は、現在23校で採用。
ニュアンスカラーのコーディネートはグレージュ、ブルーグレー、ネイビーグレーコーデを提案。モックネックセーターがコーディネートにこなれ感をプラスしている。
3つのキーワード「NEO Print」「NEEDS」「COLORⅡ」で学校が求めるイメージを制服で表現した。
【NEO Print】
転写印刷でさまざまなアイテムを表現(NEO Print)
これまでスラックスやスカートに取り入れてきたプリント柄をニットブレザーやニットシャツにも拡大。デニム調、ツイード調、ネップ調のブレザーやチェック柄にクレストを配置したボトム、エンブレムなど、織物ではコストがかかるアイテムをプリントで表現できる。シャツのフロントのみなど部分的に取り入れることも可能。
【NEEDS】
制服を通じて学校の目指す姿を表現する企画では4つのスタイルを提案する。
明るさ・動きやすさ・活発なイメージの「ACTIVE(アクティブ)」、洗練・都会的なイメージを打ち出す「ADVANCE(アドバンス)」、クラシック・伝統のイメージを打ち出す「TRADITIONAL(トラディショナル)」、個性的・独創的・ユニークなイメージを打ち出す「CREATIVE(クリエイティブ)」それぞれを制服で表現した。学校からの要望に応えて全開・半開・被りの3種類のスウェットアイテムも作成した。
写真左から「クリエイティブ」と「トラディショナル」(NEEDS)
【COLORⅡ】
着用者自身の心身に影響を与える色彩について検討し、次の4色を基調とするコーディネートを提案。▼RED=「やる気/行動力/スポーティー」 ▼ORANGE=「陽気/あたたかさ/社交的」▼YELLOW=「明るさ/活力/前向き」▼GREEN=「リラックス/フレッシュ/調和」
同社が中学・高校教員約1400人を対象に行った調査によると、夏制服におけるハーフパンツの採用を全体の約7割が肯定している。同社では昨年末からネイビー、ベージュ、ブラック、濃グレーの4色のハーフパンツ制服を展開。スポーツ素材を使用しながらも体操服と差別化を図るデザインとした。
生徒が抱える課題解決に向けて、さまざまな機能を備えた体操服を展開。無地のカラーシャツを望む近年の声に対応。透け防止性が高く軽くて薄いミエンヌエアーと、紫外線遮断機能と防透け機能に特化したレイブロックで無地シャツを作成した。
軽く暖かいジャケットとパーカー(KANKO PREMIUM)
防風・保温、耐久、軽量など体操服の機能を追求したハイグレードなスポーツウェア「KANKO PREMIUM」。軽くて保温性が高い素材「モアヒート」の特徴を活かしたジャケットは高めのスタンド襟で首元をしっかり覆い、袖口や裾もフライス仕様にすることで保温性を高めた。
教員向けに提案していたスポーツパーカーは、生徒向けにモアヒートを取り入れた。体操服としても学校外の移動着としても着用しやすい。
円陣を組んだ際に肩のラインが隣同士でつながり輪になるデザイン(左)も提案(KANKO×Phiten)
Phitenの「アクアチタン」を取り入れた体操服の採用が進んでいる。新たに展開されるアクエアー素材のジャケットは「仲間の大切さ」や「つながり」をデザインの切替で表現。円陣を組んだ時、肩のラインが隣同士でつながり、輪になるようにした。
軽量で耐久性が高い、エコディアワープエアーのジャケットは、身体の内側から湧き上がる感情を胸元から広がるデザイン切替で表現。衿裏にX1のPhitenテープを使用している。
新アイテムはシャツとジャケット(KANKO blueeq)
現在、約10校での導入が決定しているマルチスポーツウェア「KANKO blueeq(ブルイク)」。スポーツバッグを中心に展開するEQ japanの「blueeq」と2024年7月からコラボレーションを開始した。
新アイテムとしてシャツとジャケットを展開。4色の無地シャツはクルーネックとⅤネックで半袖と長袖を用意。
ジャケットは両肩のラインテープが特徴。脇と袖底を1枚にすることで腕の運動がスムーズになるアクティブアームを搭載している。
■実業系向け ファン付きウェア
夏の気温上昇が社会問題化し、熱中症のリスクも高まっている。そこで農業高校などの希望生徒を対象にファン付きウェアの展開を開始。2024年には農業高校において着用試験を実施し、デザインや風力に関して生徒の声を反映。今後は普通科に向けた展開も計画している。
■KANKO UNINOWA
サイズアウトした制服や体操服を同じ学校の保護者同士で売買することができるフリマサービス「UNINOWA(ゆにのわ)」が2025年3月から始まっている。出品期間は卒業から1年後の2月28日まで、購入は在学中のみ。同じ学校の保護者限定でアクセス可能で、匿名での取引が可能。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2025年10月20日号掲載