3月は、春の近づく足音のように一雨ごとに季節がうつろいでいきます。啓蟄は3月5日頃から20日頃、土の中で冬ごもりしていた虫や生き物が地上に這い出してくる、春の日差しを感じられる時期です。蟄虫啓戸(すごもりのむし、とをひらく)冬眠していた生き物が春の日差しのもとに出てくることを表しています。
桃始笑(もも、はじめてさく)、菜虫化蝶(なむし、ちょうとなる)この二つは桃の蕾も膨らみ、花が咲き、さなぎが羽化して蝶になり羽ばたくさまを表しています。
そして3月後半~4月はじめを春分と言い、太陽が真東から昇って真西に沈み、昼と夜の時間がほぼ同じ長さになることから、二十四節気では大きな節目の日です。現在でも、自然をたたえ生き物を愛しむ日とされています。春分の時期の中日を中心に前後3日間を含めた7日間が春のお彼岸で、先祖の供養をするとともに農作業の事始めの神事も行われる頃です。
「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉通り、過ごしやすく活動できるようになります。季節の花は桃、桜、レンゲソウや雪柳、土筆、モクレンも芽吹きます。旬の食材は新玉ねぎ、葉ワサビ、ノビル、コシアブラ、タラの芽等の山菜、グリンピース、絹さやが出回り、魚介はサヨリ、サワラ、ヤリイカ、シラス、サクラエビが季節を彩ってくれます。

材料

具材を混ぜる
お祝いの席に出される「ちらし寿司」を作ってみました。米2合に昆布を加え、通常より少し硬めに炊いてすし酢を50㍉㍑混ぜ合わせます。具は干し椎茸2枚、かんぴょう7㌘は戻して刻み、人参40㌘、れんこん50㌘、たけのこ50㌘は細切りや薄切りにします。
煮汁はだし汁15㍉㍑、濃口醤油、みりん各大さじ1、上白糖小さじ1を合わせ汁が無くなる位まで煮詰め冷まします。むきエビ8尾は沸騰湯で下茹でし、卵2個を薄焼き卵にして刻み錦糸卵にします。すし飯に煮た具を混ぜ、器に盛り、錦糸卵と海老、あればでんぶ、イクラを添えます。菜の花の辛子和えを添えて。

完成(斜俯瞰)

完成(真俯瞰)
【食育メモ】3月3日は「桃の節句」または「雛祭り」と言われ通過儀礼の一つです。人の一生に経験する誕生、成人、結婚、葬儀等、成長・社会移動する人生の節目に行う儀式で、人々が集い、ともに供食する習わしが古くから続き、行事食として残っています。
室町時代以降、女子の成長と良きご縁を願い、雛飾り等を飾るようになりました。ちらし寿司を中心に春の食材で華やかな献立が作られます。
【著者】フードディレクター・澤坂明美=管理栄養士。女子栄養大学香友会と業務提携し『プロカメラマンとフードコーディネーターに教わる料理写真講座』を継続開催、女子栄養大学認定料理教室等を主宰する。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2026年3月16日号掲載