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教育ICT

パスワード管理は小1からできる  第2回GIGAスクールサミット「使う」から「使いこなす」へ

2022年2月8日

1月22日、ソフトバンクは「第2回GIGAスクールサミット」をオンラインで開催。GIGA端末活用について各校が報告。有識者がアドバイスした。

1人1台の情報端末活用について、教育委員会や教員が事例を報告した

■パスワード管理は小1からできる~小﨑誠二准教授奈良教育大学教職大学院

小﨑誠二准教授(奈良教育大学教職大学院 教育DX研究室)は「子どもたちが端末を使いこなすために学校の先生ができること」をテーマにオープニングトーク。

アンケートフォームで当日の参加者状況を把握したところ、回答者150人のうち教職員は46%であったことを受け「学校の情報化やGIGA端末活用について、学校現場以外の関心の方が高い状況である」と指摘。「先進校だからできる、特別な教員だからできる、と考える人がまだ多いと感じている。本セミナーでは、そこから脱却するためのアイデアを共有したい」と話した。

「PWは誰にも教えたらあかんねん」

小﨑氏は、情報端末を家庭に持ち帰り、初めてログインする小学校1年生の様子を紹介。映像は保護者が撮影したものだ。児童は「パスワードは誰にも教えたらあかんねん」と、保護者に見えないように8文字のパスワードを入力。ログインに成功して「やった!見て!」と喜んだ。

小学校1年生にPCは早すぎる、パスワード管理は難しいという意見もある。しかし、小学校では1年生から多くの漢字を覚え始める。パスワード8~10文字程度は覚えられる。自分でパスワードを考えることもできる」と断言。

活用については、これまでの経験から「最初は、子供が喜ぶことを中心に取り組む時期があっても良い。前向きに取り組めない教員については、無理強いしすぎないようにしていた。『どのような活用ならやってみたいと思うか』等、対話を通じて方向性を共有する中で変わっていった。自らイメージを持とうとすることが重要。インターネットにつながっていることを前提すると、授業も変わる。記憶しているか否かではなく、すぐに調べることを前提にした出題が可能になる」と話した。

事例報告

「まいちゃれ」に挑戦 石巻市立蛇田小学校

石巻市立蛇田小学校(宮城県)の宮本奏教諭は、同校の情報端末活用について報告。

同校では夏休みの宿題に紙のドリルやプリント等を配布せず、自分で計画を立てて取り組む「まいちゃれ」に挑戦した。児童は、自分が取り組んだ学習を動画や写真で撮影してGoogleClassroom上に投稿。保護者の半数以上は情報端末を使った「まいちゃれ」の取組に肯定的だがいくつか課題も届いた。時間制限なくずっと使っている、という声もあり、端末使用時間の制限を設定した。端末に不慣れな保護者はアドバイスやトラブル対応が難しい、という声に対しては、冬休み中に保護者宛てにアプリの説明をメールで送信した。

今後も保護者用資料を充実する。

2学期に導入された「指書きレッスン」のほか、今後は学校としてドリルの導入も検討中だ。

保護者と「共創」で教育創り 横浜市立山内小学校

横浜市立山内小学校(神奈川県)の実践について、佐藤正淳校長が報告した。

同校では、PTA役員やPTA委員に定員以上の手が挙がる。7人の本部役員の枠に25人、43人の委員の枠に74人の希望者があるという。保護者の学校への参画意識の醸成をさらに発展させようと、新たに地域学校協働本部「Yぷらす」の取組も開始。これは、登下校見守りや放課後の学び場サポート、ICT支援や花壇など環境づくりのほか、授業や学校行事に関わらないイベントを担う。保護者や企業、NPO法人からの持ち込み企画も積極的に受け入れ「自ら風を起こす」学校づくりに「共創」で取り組んでいる。いじめ防止に向けて「あったか言葉」の浸透を図ろうと同校の子供たちが作成したLINEスタンプも、イラストレータでもあるPTAが発案者であった。山内小のシンボルキャラクター・ケヤキの妖精「ケヤリーフ」のグッズ作成・販売等、スタートアップ企業のように教育支援に取り組んでいる。

保護者とのかかわりを増やすため、SNSも積極的に活用。コロナ禍の情報端末のスムーズな活用にも威力を発揮した。2021826日に分散登校が決まり、91日から開始。それに向けた教員研修の様子は学校Instagramに発信。ロードマップも作成して保護者に発信した。Wi―Fiの家庭内接続検証も、進捗状況を発信。2日目には、ほぼずべての家庭で確認が終了した。オンライン朝の会の取組に、保護者からは感謝の声が届いた。

分散登校に伴う端末の持ち帰りについては「端末が重たい」「目の疲労が心配」等の声にも随時、対応を検討している。

GIGA委員会に各学年が所属

20214月にGIGA委員会を発足。GIGAスクールチームリーダーを中心に各学年から1名以上が所属し、ICT活用に不安を感じる教員とも情報交換。オンライン研修では1教員1アプリを担当した。

事例も共有。★の数により、失敗事例、成功事例がひと目でわかるようにした。保護者からの問い合わせも収集、その対応をFAQとしてまとめている。

オンラインドリルもいくつか試しており、様々な立場から選定を進めている。

ICT係中心にルール作り

同校5年生の様子を野上貴詩教諭が報告。

「既に半数以上の児童が鉛筆のように使いこなしており、学びに変化が『ある』と全員が回答している。児童は『ほかの人の意見をたくさん見ることができる。算数で自分と異なる求め方を見て自分の考えを進化できた』『発表のとき、これまでは黒板に紙を貼ることが多かったが、今はデジタルで作成し、それを自分の端末で見ることができてわかりやすい』と手応えを感じている」と報告。野上教諭のクラスのICT係は、ルール作りを皆で考えたり、役立ったツールを紹介したりしている。皆で考えるため、ルールを守るようになったという。

■ルールが進化

中休み中の端末活用の際は端末の背面に「学習で使用中」「係活動で使用中」などと貼って使用している

情報端末は「学習や係活動で使う」場合は中休み等でも使用することを可能としているが、それ以外の目的で使う児童も出たため、中休み中の使用に関しては端末の背面に「学習で使用中」「係活動で使用中」などと貼って使用するようになったという。このルールは他クラスにも広がった。また、天気が良い日はなるべく外で運動する、休み時間の使用の際も5分前には終了する等、活用につれてルールも進化している。

他学年から学び合い 新居浜市立中萩小学校

新居浜市立中萩小学校(愛媛県)の高須賀美雪教頭は、同校の情報端末活用について報告。

新居浜市ではGIGAスクール構想により、小学校にiPad、中学校にChromebookを導入。教育長はGIGAスクール構想を「教育界における黒船襲来」と表現。当時の教員の多くが「あると便利かもしれないが得意ではない、使わなくても授業ができる」と考えていた。

そこで同校では「毎日情報端末を使う」、「教員の過半数が使える」ことを目標に、すぐに使えるように日々の段取りを決めた。また、校内にICT推進部会を設置して月1回開催。実践の共有や課題、問題点を共有して各学年にフィードバック、その結果を次の部会で共有している。

教員意識の醸成のため、教頭発信により、学校全体で取り組む姿勢を周知した。

問題も生じた。例えば雲の写真を撮影して共有する際に、自撮り写真に夢中になったり、プレゼン資料を作成するときに見栄えにこだわりすぎたり、Googleearthで調べる際に自宅中心の探索に夢中になったり等、その都度の対応が大変であると感じることもあったが、昨年10月、高学年対象に調査したところ、約9割の児童が「情報端末は学習に役立っている」と考えている。子供の反応も良く、教員に他学年の様子を見て学び合うようになっている。

2022年度からは市全体の方針で、持ち帰り学習が始まる。それに向けた準備を進めていく。

中萩小学校のアドバイザーである、愛光中学・高等学校の和田誠氏は同校の様子について「2年前の『多くの教員がほぼ使えない』状況から大きく変わった。無理強いしない根気強さが進歩につながっている」とコメントした。

コアカリキュラムに情報端末活用を位置づけ 南あわじ市教育委員会

iPadセルラーモデルを2021年夏から活用している南あわじ市教育委員会(兵庫県)学校教育課の白木誠一氏が市の活用について報告。

当初は各校それぞれで取り組んでいたが、学校間で差ができすぎないような取組を検討。そこで「淡路人形浄瑠璃」をテーマに全小中学校で取り組んでいるコアカリキュラムに「情報端末活用」を位置づけた。「淡路人形浄瑠璃」は、室町時代末期から始まったといわれている伝統芸能で、重要無形民俗文化財にも指定されている。LTE端末のため、地域学習に取り組みやすいというメリットもある。情報端末持ち帰りについても、当初は学校判断であったが、冬休み中に全小中学校での持ち帰りを依頼した。

差を埋めるのは「対話」 新保元康理事長NPO法人ほっかいどう 学推進フォーラム

様々なタイプのリーダーがいて良い。しかし差は埋めていかなければならない。そのとき重要になるのが「対話」であり、望ましい方向性の「共有」だ。学校はすべてを引き受けようとするのではなく、保護者や子供、地域と共に考えながら取り組もうという姿勢を推奨したい。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2022年2月7日号掲載

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