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教育ICT

「個別最適な学び」キーワードは「自己決定」「自己調整」「相互啓発」~東北大学大学院情報科学研究科・東京学芸大学大学院教育学研究科 堀田龍也教授

2022年6月6日

シングルサインオンは必須
学習ログのデータ活用が始まる

文部科学省のMEXCBTは「学習eポータル」経由でアクセスする仕組みとなっていることから、「学習eポータル」に注目が集まっています。高知県は独自の学習eポータルの開発をスタートしました。

様々な教材やツールが今後、さらに増えていく可能性があり、それぞれの教材について1つひとつIDとパスワード入力が必要となると、学習者は混乱しますので、今後はシングルサインオンの仕組みは必須です。今、何の教材やツールにログインしているのかを把握できる仕組みもあった方がよいでしょう。

学習ログの活用についても準備が進んでいますが、これまで積極的に行われてこなかったため、何ができるようになるかが共有しきれないこともあり、世論の理解に至っておらず、社会的な議論も起こっています。個人情報は重要なものですが、過剰すぎる反応は、教育の向上を進める上で障害となることがあります。

学習ログ分析の可能性は大きく、一定の基準に学力が到達したか否かにとどまらず、例えば、どの教材コンテンツにどの時期、多くのアクセスがあり、時間がかかっているのか、この問題は何年生でどの時期に正答率が上がるのか等、データとして知る機会により、学びの改善点が明らかになる可能性が広がります。

学習ログの活用が広がると、教員や管理職が保護者と共有し、教育課題を早期に発見できることが考えられます。医者が心拍や熱で判断するように、教職員も学習ログを理解して判断できるようになることも考えられます。現在、学習ログと学習者用デジタル教科書に関する実証実験をつくば市、東京書籍、東北大学で行っており、行動記録とログを紐づけて分析しやすいようにするなど検証中です。

■次の学習指導要領が地方財政措置の基になる

端末、ネットワークの次の段階として、プラットフォーム、コンテンツやCBT、データ活用や配信基盤など、すべてが同時進行で進んでいるというのが現在の状況です。

学習ログの解析のためには、すべての教材と連携して一覧できる仕組みが求められています。ビッグデータを積極的に活用することで、効率的・効果的な仕組みの構築を目指しているわけですが、現在、デジタル教科書配信プラットフォームの仕組みと学習データ利活用の仕組みの構築は文部科学省の別々の部署が担当しています。使いやすいインフラとしなければ教職員の苦労や課題が積みあがるだけになってしまいますので、今後調整していく必要があるでしょう。GIGA配備の1年間で、担当として頑張っていた教員が、過酷な労働環境のために保護者や子供に惜しまれながら教員を辞めた、という事例をいくつか聞いています。教育の今後を考えると一日も早く解決したい課題です。

全体のインフラが整った頃に、次の新たな学習指導要領の実施が始まるという計画です。現在からさらに進化した新しい環境で目指す学びについて、次の学習指導要領についての議論が始まっています。これは、新たな地方財政措置の基になります。今後のICT活用や教育DXの姿を見据えた内容になるでしょう。今後を見据えて今の環境を最大限活用することが求められています。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2022年6月6日号掲載

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