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教育ICT

「STEAMLab」で探究的な学び 市内全校を授業時数特例校に指定<久喜市教育委員会 GIGAスクール推進室 指導主事 古田裕子氏>

2024年2月5日
第105回教育委員会対象セミナー・東京

12月5日、東京都内で第105回教育委員会対象セミナーを開催した。東京都教育庁は教育データ利活用、久喜市教育委員会はSTEAM教育・探究的な学び、君津市立清和小学校はMEXCBT活用、神奈川県立生田東高等学校は学校全体で進めるICT利活用について、取組と成果を報告した。


久喜市教育委員会 GIGAスクール推進室 指導主事 古田裕子氏

久喜市教育委員会 GIGAスクール推進室 指導主事 古田裕子氏

久喜市(小学校21校・中学校10)は、NEXTGIGAに向けた「久喜市版未来の教室」の下、汎用的な能力を育むSTEAM教育を推進。市内すべての学校を授業時数特例校に指定し、総合的な学習の時間の時数を補強して探究的な学びに取り組んでいる(うち1校は体力向上を目的に体育科の時数増)。古田裕子指導主事が成果を報告した。

…◇…◇…

久喜市が取り組むSTEAM教育は、各教科の学びを総合的に発揮して生きた学びを実現する取組だ。決して目新しい手法ではなく、身につけるべき基本的な知識・技能を基盤に、最新技術の活用などの要素を取り入れ、教科ごとの見方・考え方をフルに働かせる深い学びを展開している。

例えば、災害をテーマとした学習では、避難場所となる学校で身近なものを使って暖を取る方法を探究した。

子供たちは冬の廊下で1時間過ごし、寒さを体感。「空気の層を作ると暖かくなる」という理科の学びをもとに、新聞紙とブルーシートで寝袋を作り、寝袋内部の温度や体温の変化を分析した。

ほかにも、地震の揺れの波形を測る装置を作りデータを調査、扇風機とドライアイスを使って台風の起こりやすい状況を作り出し検証、ろ過装置の作り方を調べ飲み水を作成、県内の一級河川が氾濫した場合の浸水の様子を3Dプリンターで出力した模型にプロジェクションマッピングで表すなどと、身につけた知識を使って学びを深めている。

低学年生活科では、学校で育てているミニトマトに害虫がつかないようにする方法を探究。酢と水を混ぜたものを散布して濃さの違いによる効果の違いを記録・分析した。学習環境を整備すれば低学年でも探究的な学びが展開できる。

■市内の1/3程度が3Dプリンターを常設

STEAM教育の推進には学習環境の整備が肝要だ。企業の協力の下、小中学校各1校に最先端PC15台と3Dプリンターを配備した「STEAMLab」を開設した。

テクノロジーを活用して自己表現できる空間として実証を進め、成果を横展開していく予定だ。

機器の設置や配線は指導主事が担当して予算を抑えた。他の自治体でも参考にしてもらえるのではないだろうか。

一括で揃えることが困難でも、できるところから始める視点も重要だ。

プログラミング教材やドローン、3Dプリンターなどを希望する学校に輪番で貸し出す「GIGAスクールLab」事業を2022年度にスタート。活用が進むにつれて独自予算で購入する学校も増えており、現在は市内の1/3程度が3Dプリンターを常設している。

事業開始時には市内小学校体育館で企業6社による説明会を実施した。機器の良さや使い方の説明とともに具体的な活用についても相談でき、活用促進に効果的だった。

■地元企業や中学校と積極的に連携

企業や関連団体との連携強化により一歩進んだ深い学びが展開できる。

例えば、市内にある関東最大級の3Dプリンターショールームとの連携では、使い終わった朝顔の鉢を再生フィラメントとして生まれ変わらせるプロジェクトを実施。身の回りのものが自分たちのデザインしたものに生まれ変わることで子供たちの興味・関心が高まった。ほかにも工夫次第でいろいろな学びが展開できる。医療産業で多く使用される柔らかいフィラメントを使った学びは、医学やものづくりの道への可能性を広げるだろう。

地元企業や中学校技術家庭科の教員とも密に連携。3Dプリンター講習会やプログラミングの授業、大会に向けた指導まで様々な協力を得ている。地元人材との連携の強みは学校現場への理解が深く、保護者も巻き込みながら柔軟に学びを進めることができる点にある。

家庭や地域の大人が子供の学びを理解し応援することは学びの支えとなる。親子で取り組むイベントや啓発事業により理解促進を図っている。

これらの継続した取組により、コンテストで全国的に入賞する子も現れてきた。

子供たちの目の前の課題を受け止め解決する力や創意工夫する力の向上を感じている。

■対話しながら学びをつくる

全ての学校で探究的にSTEAM教育を進めていくために「STEAM教育研究委員会」を設置して市内31校に推進役となる教員を配置した。

教育委員会は教員を主語にした学び、対話しながら学びをつくる集団を意識してSTEAM教育に関する網羅的な研修を実施。委員が自校に学びを持ち帰り、各校が自走できるようになってきた。

校内研修用資料や実践をまとめた「STEAM教育プラットフォーム」も作成。情報発信を強化し、各校での委員の孤立化を防いでいる。

2023年度は総合的な学習の時間の全体計画と単元計画を各校から集め、講師や他校の教員と共に多様な視点でカリキュラムのアップデートに取り組んでいる。

総合的な学習の時間を核にカリキュラムマネジメントを推進。単元一覧表の中央に総合的な学習の時間を設定し、各単元の学びとの結びつきを俯瞰できるようにしている。

単元計画には学びに必要な情報や市内の実践などをQRコード化して挿入。教員の異動があっても久喜市の方向性を理解でき、授業の質の担保を図っている。

子供たちの意見やフィードバックを積極的に取り入れてカリキュラムマネジメントを行っているため、アップデートのサイクルも早い。

■記述式に効果 無回答率も減少

STEAM教育に力を入れて取り組んでいる学校ほど全国学力学習状況調査や、その他の学力調査において大きく学力の伸びが見られている。

特に自分の考えを表現する記述式の解答のポイント数が上がり、無回答率も減少傾向にある。

これからの学びをしなやかに捉え、さらに展開できるよう、引き続き取り組んでいく。

【第105回教育委員会対象セミナー・東京:2023年12月5日 】

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2024年2月5日号掲載

 

  1. 東京都教育庁総務部 統括指導主事 岡村健氏
  2. 久喜市教育委員会 GIGAスクール推進室 指導主事 古田裕子氏
  3. 君津市立清和小学校 教諭 三平大輔氏
  4. 神奈川県立生田東高等学校 教諭 秋山紀将氏、総括教諭 大石智広氏

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