京都府立丹後緑風高等学校(後藤文彦校長)久美浜学舎の学校図書館(くみこう図書館)では、2017年からゲームを導入した。同校の伊達深雪学校図書館司書は「当初から第一に“生徒間または生徒・教職員間のコミュニケーションの促進”が目的だった」としている。

複数で遊べるボードゲームや一人で楽しめるものも
毎日昼休みに一人で来館しずっと本を読んでいる生徒たちが、就職活動で不振が続いたり、卒業後に勤めた会社で長続きしない傾向があった。一人ではできないボードゲーム等は、人付き合いが苦手な生徒が人と交流し人間関係を構築する経験を積む良いきっかけになり、また本に関心がない生徒にとってはゲームは学校図書館に足を運ぶことに役立つと考えている。
ゲーム導入以前から、読書や自習以外でも様々な人が集いやすい学校図書館として運営しているくみこう図書館。低い書架をパーテーションのように活用し、数人で話ができるような空間をいくつも作っており、おしゃべりは禁止せず、ゲームも楽しむことができる。
マナー指導は“色んな人が色んな目的で使う場所だから、お互いに気持ちよく過ごせるようにちょっとだけ意識する”、ほぼこれだけだという。静かに過ごしたい生徒も話したりゲームをしたい生徒も、お互いを尊重するように促し、静かに読書をしている生徒の傍ではゲームをしない、といった気遣いも自然とできるようになっている。
1人1台端末やスマートフォンが普及したことで余暇の過ごし方が多様化し、現在、生徒が自発的にボードゲームを活用することは一時期よりは少なくなった。
その一方で教員がゲームを教科の授業で利用することが多くなったという。現在、地歴公民科、国語科、保健体育科といった様々な教科の中で活用されている。「どんな生徒でも集中力を高めやすいボードゲームの教材的価値に、先生方も注目しているのかもしれません」。

ゲームの情報は図書館だよりで紹介するなどしているが、教員から「○○の授業で○人くらいで使うのに何か良いゲームはあるか」といった問い合わせがあり、伊達学校図書館司書が要望に沿ったゲームを紹介し、活用されることも多いという。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2025年9月15日号掲載