固体量子/著
北川俊作/監修
オーム社
A5判 288頁
2750円
物理学と聞いて思い浮かぶのは、宇宙にまつわるブラックホールやビックバン、量子コンピュータなどだろうか。ただしこれらのイメージは物理学の一部であり、地震、経済、鳥の群れの飛び方など、私たちの世界の全てが物理学の研究対象になるという。物理学は「素粒子・宇宙物理学」と「物性物理学」の2つの大きなカテゴリーに分けられるが、さらに両分野を横断した境界領域ももちろん存在する。
そうした物理学の広大さと多様性を知る指標として「物理学の世界地図」を描き、物理学が探究しているテーマを網羅的に紹介。将来物理学を研究したい高校生や、現在研究している大学生にとって、自分が物理学の何に興味があるのかを見つける手がかりになる。本書の見返しに描かれている図と照らし合わせながら読むのも楽しい。
著者は物理学系VTuber。京都大学固体量子物性研究室所属のバーチャル助教で、超電導や磁性体、光と物質の相互作用を研究する。研究紹介や実験解説など、400本を超える動画をYouTubeで公開中。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2025年10月20日号掲載