
高岡里衣/著
子どもの未来社
四六判 248頁
2090円
元ヤングケアラー当事者である著者は、9歳の頃に母が難病を発症し、以後、母のケアや介護と家事に奔走する。常に予断を許さない母の状態に不安と緊張を抱えながら24年間過ごし、母を看取った後は人生の再構築に向けて苦闘が続いた。
その時その時の出来事や思いが丁寧に描かれる。中学・高校生の時には同世代が抱える勉強や友人関係の悩みに醒めた感情を抱いたり、思い切って家庭の状況を友達に話しても親身に受け止めてもらえず居心地の悪い思いをしたり。周囲の人との隔たり、夢を諦め、気づけば同世代は社会人になり、自分だけが別の国にいるかの様になっている。その間、母親への愛情や父や兄とのやりとりもリアルに綴られる。
状況や思いは当事者一人ひとりで異なるはずだが、共通するのは「孤独」を抱えていることだという。看取りの後も人生は続く。これからの社会ではますますケアの必要性が増えると考えられる中で「ケアの価値」がもっと正当に評価され、誰がいつどうなっても支え合える社会の仕組みの構築が求められている。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2026年6月22日号掲載