昨年10月に刊行された絵本『世界ではじめてエベレストの頂点に立った女性 登山家 田部井淳子の物語』(安田アニータ/文、清水裕子/絵 おおつかのりこ/訳 西村書店)の原書はアメリカで刊行された。
絵を手掛けた清水裕子氏は現在アメリカ・ニューヨークを拠点に活躍するイラストレーターである。清水氏が今年6月下旬に一時帰国した際に話を聞いた。

東京・神田神保町のブックハウスカフェにて。インタビュー中も多くのファンが来店し、サインを求めて列を作っていた。なお本書は田部井氏を描いた初の伝記絵本
本書で描く田部井氏は1975年に女性として初めてエベレストに登頂した人物。
清水氏は「田部井さんと自分の母が同じ大学を卒業していたり、つながりを感じ、絵の依頼が来た時にぜひ描きたいと思った」と話す。
本書では田部井氏が女性登山家たちを募った時代の状況、山の景色、登山用具に至るまで当時の様子がリアルに描かれている。
清水氏は「読者である子供たちを、その時代まで連れていく」ために小説や古書、インターネットなどを駆使して時間をかけて調べ「文では触れていないところをどのように絵で描くかを考えた」と話す。田部井氏がエベレストへ出発する際、夫が育児と家事を担いながら笑顔で送り出す場面は、絵で家族の応援が伝わってくる。また、シェルパと共にエベレストの頂上に立つ描写は、田部井氏の人柄が現れている。
清水氏の絵は、アメリカでは‘非常に日本的’、日本では‘アメコミの雰囲気’と言われるという。唯一無二の力強い絵で、田部井氏の人生を読者に伝えている。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2026年7月27日号掲載