コロナ禍以降、修学旅行を取り巻く環境が大きく変化するなか「学びの集大成を図る修学旅行」を主題に第43回全国修学旅行研究大会(主催=公財・全国修学旅行研究協会)が7月24日、都内で開催された。
全国修学旅行研究協会(全修協)が実施した「全国修学旅行実施状況調査」の概要が報告された。2024年度の修学旅行はコロナ禍も収束したことから、従来の状況に戻った学校が大半だが、高校は沖縄や海外の修学旅行が戻り切っておらず、近畿方面への修学旅行が増加。海外修学旅行は回復に向かっているが、原油価格の高騰などの理由から再開を控える学校も多い。
現在、物価高騰や人手不足、オーバーツーリズムなど、修学旅行はさまざまな課題を抱えており、取り巻く環境に適応しながら変容を遂げることが予想される。

中野区の報告では行き先を生徒が選ぶことで、当事者意識が生まれ、話合いを通して互いの考えを尊重する心が育まれたという
中野区立中野中学校の竹之内勝校長と同・南中野中学校の神藤陽平校長が「公的支援を活かし、生徒の意見を反映した修学旅行」をテーマに報告。
中野区では区立小中学校の校外活動費、移動教室費、修学旅行費などは原則として区が補助することを2026年3月に決定。修学旅行費は旅行会社に支払うすべての費用や事前学習資料代が補助対象となる。
また2026年度から修学旅行の行き先を生徒自身が決める取組を実施。従来中野区の中学校は全9校が京都・奈良方面の修学旅行だったが、1年生が5つの候補地(①青森・函館、②北陸<金沢周辺>、③京都・奈良、④広島・京都、⑤九州<長崎周辺>)の中から選定を行った。候補地は教育長や中学校長などからなる中野区修学旅行検討委員会が選定した。
予算は1人8万円。生徒が選んだ候補地に修学旅行で向かうのは3年生となる2028年度から。2026年4月、各校でプレゼンや話し合いが行われ、各校の行き先が決定した。
南中野中学校の場合、体育館で1年生全員に担当教員がプレゼンテーションを実施。はじめに日本地図を用いた資料で東京都と候補地の位置関係や距離感を確認。モデルコースは旅行会社から提供されたものを提示し、各候補地の特色ある観光資源が紹介された。
その後、グループでの話し合い活動で生徒は自分が行きたい候補地をアピールするためスライド資料を作成。各自が行きたい候補地をアピールした後、Googleフォームを使って投票を行い、その結果2028年度の修学旅行先は京都・奈良に決定した。なお中野区各中学校の行き先は青森・函館4校、京都・奈良3校、九州2校。
東北福祉大学教育学部教授で文部科学省初等中等教育局教育課程課・教科調査官の長田徹氏は「修学旅行の意義」をテーマに講演を行った。
中教審の教育課程部会「特別活動ワーキンググループ」の取りまとめによると、次期学習指導要領において学校行事は「子供たちが創造する活動」として位置づけると明記されている。
現在、修学旅行は「総合的な学習の時間」で取り扱うパターンと「学校行事」として取り扱うパターンが混在しているが、次期学習指導要領では積極的に「総合的な学習の時間」と関連させるよう示されている。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2026年8月24日号掲載