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学校施設

災害時の給食対応、平時からの備えを

2022年2月21日

東日本大震災から間もなく11年。この間にも震災や風水害が毎年のように起きて地域に深刻な被害を与えており、学校や給食施設も例外ではない。文部科学省が昨年4月公表した災害時の学校給食実施体制に関する調査結果では、4割の自治体が給食実施に影響する被災経験がある一方、施設の耐震・防火や非常食の備蓄等をしているのは3割強だった。コロナ禍の長期休業でも望ましい食生活のため、冷凍食品・保存食も活用した弁当配給を行った高知県の給食センターは、その経験を災害対応献立の作成に活かしている。

被災による給食提供の影響 4割の自治体が経験

災害時に備えた学校給食実施体制の整備をしている自治体は334%だったが、408%の自治体が給食提供に影響した被災経験があった。

自治体を対象に災害への整備の有無による被害状況や復旧期間を分析したところ、整備のあった自治体は「通常通りの給食が提供できた」(195%)「何らかの給食を提供できた」(463%)で6割以上が給食の提供が可能だった。一方整備のなかった自治体で給食提供が可能だったのは5割弱だった。

復旧までの期間では、整備のあった自治体は788%が「1週間以内」だったが、なかった自治体は72%、「2週間」は整備のあった自治体で30%、なかった自治体は76%だった。

整備のうち特に役立ったものは、「非常食の備蓄」が最も多く424%だった。その他「給食施設の耐震化」(409%)、「民間企業への協力要請・締結」(152%)、「災害時のガイドライン・マニュアルの策定」(91%)などだった。

効果的な対応の事例

災害時の学校給食実施体制の調査で、効果的だったとされる対応の事例を、同アンケートの記述から抜粋して紹介する。

【施設連携】
  •  電気水道のライフラインが被災し、一時的に給食は停止したが、当時給食センターは3施設あり、1施設が液状化により調理業務が出来なくなったが、ほかの2施設にて1か月程度で全校へ給食提供を開始することが可能となった。
  •  近隣の小中学校により給食を配送し、提供した。
  •  被災校の1校は、道路断絶で給食食材の配送が困難となったが、100食以下の直営の単独調理場であったため、近隣の直営学校調理場で調理した給食を配送する対応を実施。

児童へは、普段と変わらない献立提供をすることが出来た。

【献立変更】
  • 学校給食室の被災状況に応じて、備蓄用ベジタブルカレーの使用と簡易給食を使い分けることができた。
  • 計画停電に併せ、電気を使用しない調理機器による給食実施をするための献立変更を行った。
  • 台風による屋根の損傷により衛生上調理ができない環境であるが、調理機器等は運転可能であったことから、調理せず加温して提供できる環境を整え簡易給食として提供したが、完全給食ではないため全員が満足いく給食ではないことから、希望制をとり提供した。
【施設設備】
  • リースの発電機を設置した。
  • 給食施設の壁面を強化(新たに壁を追加)する等して、火山灰の侵入を防いだ。
  • 廃止予定のため休眠していた調理場の活用、配送校の組み換え及び人員(委託業者)の配置換えで対応した。
  • 水道蛇口にストレーナーを装着して、可能な限りの錆を取り除いた。
【食材保存】
  • 冷凍庫に保存していた食品を、停電の復旧が早い地区の民間業者の冷凍庫に移動させ、後日給食に提供できた。
  • 停電により冷凍庫等が停止し復旧見込みが不明なため、市内民間事業所(冷凍食品を扱っているスーパーなど)に冷凍保管していた保存食(学校給食衛生管理基準による2週間分)や給食食材等の冷凍保管を依頼し廃棄せずに済んだ。

この対応により、市内の数事業所で大型冷凍倉庫を所有していることが確認できた。

【事例紹介】災害時対応の献立準備 コロナ禍の経験から

ごはん、フレンズハンバーグ(冷凍)、元気サラダ、ひじきの煮物

ごはん、フレンズハンバーグ(冷凍)、元気サラダ、ひじきの煮物

ごはん、ブリの塩焼き、ほうれんそうのごまあえ(冷凍)、千切り大根の煮物

ごはん、ブリの塩焼き、ほうれんそうのごまあえ(冷凍)、千切り大根の煮物

高知県黒潮町は教育委員会と給食センターと地域ボランティアが連携し、2020年3月、新型コロナウイルス感染症対策で学校が臨時休校した間、給食に替わり希望者に弁当(=写真)の配布を実施した。

その経験を活かし、災害時に対応するための献立を作成した。冷凍食品や常備食材、地場産物の缶詰なども組み込んでいる。献立表は災害後すぐ再開した時の3日分、1週間の長期にわたるものと2パターンを用意。平常時からローリングストックを意識して食材を活用している。

弁当用パック、割りばし、プラスチック製スプーン、ディスポ食器、ラップ、アルミホイル、ウェットティッシュ、手指消毒用アルコール、手袋、使い捨て帽子・エプロン、マスク等備品リストも準備した。

 

教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2022年2月21日号掲載

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