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教育ICT

【学習者用デジタル教科書】小学校理科・「紙」「デジタル」は児童が選択~東京学芸大学附属小金井小学校

2022年10月4日

中央教育審議会「教科書・教材・ソフトウェアの在り方ワーキンググループ」では2024年度からの学習者用デジタル教科書導入の留意点について検討しており、デジタル教科書の使用頻度が高いほど、主体的・対話的な学びに役立つと考える教員の割合が高いという調査結果も出ている。東京学芸大学附属小金井小学校(小森伸一校長・東京都)の小林靖隆教諭は、2021年9月から理科の学習者用デジタル教科書(+教材)(大日本図書)(以下、学習者用デジタル教科書)を活用しており、約1年が経過。昨年度の活用とどう異なるのか。5年1組の授業を取材した。小林教諭は東京学芸大学加藤直樹研究室の学習者用デジタル教科書に関する研究に協力している。

教科書の使い方が変わる
児童は教科書の実験を超えようとする

実験前に、用具の使い方を学習者用デジタル教科書で確認。全体で共有してから個人端末でも確認している

実験前に、用具の使い方を学習者用デジタル教科書で確認。全体で共有してから個人端末でも確認している

実験の流れを各自で考えて共有

学習者用デジタル教科書を確認しながらオリジナリティのある実験計画を考えた

学習者用デジタル教科書を確認しながらオリジナリティのある実験計画を考えた

授業前、児童は学習者用デジタル教科書を各自の端末(WindowsOS)に表示してスタンバイしている。

小林教諭は、前時の板書のスクリーンショットを大型提示装置に提示して振り返り、この日の問題「ものの溶け方は水の温度によって違うのか」につなげた。

児童は、Wordやパワーポイント等で端末上に課題をキーボード入力。白黒反転させている児童や紙のノートを使う児童もいる。

次に、学習者用デジタル教科書の「実験の流れ」で基本の流れをおさえてから、自分が調べたいことを決めて実験計画を立てて結果の予想を立てた。「50ミリリットルの氷水、水道水、お湯に5グラムの塩を入れる。溶けたらまた5グラム入れる」「30度と60度で比較する。60度の方が溶けると思う」「10グラムずつ氷水、水道水、お湯に入れてどれが一番溶けるか比べる」等、実験計画も様々だ。テキストで記入してから手書きツールで矢印等を追加する児童、教科書の一部をスクリーンショットして張り込んでいる児童もいる。各自の端末やノートを回し読み、グループごとの実験計画を決定。教員に報告し、OKが出たら自分たちのグループで行う実験に必要な道具を選び、実験を行うという流れだ。

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実験前や実験中に留意点を動画で確認

実験前には、学習者用デジタル教科書の「メスシリンダーの計測方法」を大型提示装置に提示して、正しい計測方法や注意点を共有した。

実験では50ミリリットルの冷水、常温水、湯に塩を5グラムずつ入れるグループ、ミョウバンから始めるグループ、100リリットルで実験を行うグループがある。記録も、表を作成して記入するグループやテキストで記録しているグループがあった。

実験後は、各グループの結果を共有。各自のまとめを、端末もしくは紙のノートにまとめて提出した。実験の様子の写真を張り込んでいる児童もいた。

「紙」「デジタル」 今年度から児童が選択

小林教諭に、昨年度の活用と異なる点について聞いた。

「昨年度は11台の情報端末も学習者用デジタル教科書も初めてということもあり、毎時間、学習者用デジタル教科書を全員で活用していた。また、その時間のまとめを学習者用デジタル教科書上に直接書き込んで毎時間提出させて評価していた。今年度は、教科書も最後のまとめも、紙・デジタルいずれでも良いこととした」

するとクラスに4~5人の児童がノートでまとめるようになった。個性に合わせた評価につながっているという。

デジタルでまとめたものは、Teamsのチャット機能を使って教員に送信する。教員と児童11でやりとりができるようにしており、自分のまとめも時系列で振り返りやすい。

「昨年度の4年次は、Rooms(本学級独自で作成した児童各自の投稿場所)で他の児童のまとめを自由に見ることができるようにしていた。5年になると、見られたくないという気持ちも生まれるようで、方法を変えた。また4年次は教科書に余白が多く書き込みやすかったが、5年になると教科書の余白が少なくなるため、ワード等でまとめることにした」

紙や指導者用と異なるメリット

学習者用デジタル教科書の開きたいページを入力

学習者用デジタル教科書の開きたいページを入力

学習者用デジタル教科書は、指導者用デジタル教科書や紙の教科書とどう異なるのか。

「理科とデジタルは親和性が高い。紙の教科書を使っていたときは、如何に紙の教科書を超える授業や実験をするかに挑戦していたが、デジタル教科書では、動画やシミュレーション等をうまく活用したい、と考えるようになった。教科書そのものも探究の過程に沿った構成になっており『こういう予想をしたAさんは実験の結果、こんなふうに考察した』と思考の流れが毎回掲載されているため、予想と考察を教えやすくなった」

指導者用デジタル教科書との違いについては「動画やシミュレーションを児童のペースで何度も見返すことができる。児童は、教科書の実験をそのままなぞるのではなく、オリジナリティを加えようとするようになった。自分のまとめに、教科書の図版を入れこんだり、教科書上に気付いたことを書き込んだり、章末の課題をデジタル教科書上で解いてオンラインで提出している。MicrosoftTeamsと組み合わせて双方向のやり取りもできる」

最も便利だと感じているのが「実験動画」や「写真」だ。「用具の正しい扱い方や実験手順は安全に実験を行うために必須。それを個人で何度も確認できる。実験が苦手な教員にとっても便利」と話した。

 

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2022年10月3日号掲載

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