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教育ICT

学校全体を創造的な学びの場に

2023年1月5日

文部科学省は2022年3月、「新しい時代の学びを実現する学校施設の在り方について」最終報告書を公表。未来思考で空間の価値を捉え直し、学校施設全体を学びの場として創造する「Schools for the Future」をビジョンに掲げ、推進方策を提言。取組の1つとして「CO―SHA Platform(コーシャプラットフォーム)」を立ち上げた。各自治体では、本方策を盛り込んだ学校改築や新築が進められている。

目次
  1. 文科省「CO―SHA Platform」 セミナーや事例紹介、相談窓口など
  2. 長野県教育委員会~共創空間で地域と協働 環境整備から「学びの改革」へ
  3. 和歌山県串本町~文科省事業で統合・新設 2026年4月開校予定
  4. 北海道安平町~ICTでセキュリティラインを明確に 特別教室を地域と共有

文科省「CO―SHA Platform」
セミナーや事例紹介、相談窓口など

文部科学省は、未来の学校施設づくりを支援するプラットフォーム「CO―SHA Platform(コーシャプラットフォーム)」を立ち上げた。共創(CO-creation)アイデアのシェア(SHAring ideas)と「校舎」をかけ合わせて「CO―SHA Platform」と名付けた。小中学校の学校設置者及び教職員に向け、学校施設の整備や活用を進めるためのオンライン・オフラインでの共創・共有の場として次の3つを提供。「イベント&コミュニティづくり」「新たな学校づくりのアイデア集」「学校施設改修の無料相談室」

「イベント&コミュニティづくり」は、未来の学校施設のあり方を探るワークショップや関係者同士の横のつながり作りを支援する取組。202212月に第1回目のワークショップを開催。第2回の「()地域や社会と連携・協働し、ともに創造する学校施設」は20231月中旬にオンラインで開催予定。学校施設の整備や活用を進めるためのプロジェクト活動を支援するコミュニティ組成も準備中。

「新たな学校づくりのアイデア集」では、効果的な取組事例やアイデアを紹介。耐震化対策と合わせて地域のコミュニティエリアを整備・複合化した桐原小学校(滋賀県近江八幡市)、防災拠点の役割や環境教育の機能を持たせ「居ながら」の長寿命化改修を進めた矢吹小学校(福島県西白河郡矢吹町)などを掲載。

「学校施設改修の無料相談室」では、初等中等教育段階の学校に関する知見を持つ「CO―SHAアドバイザー」に、専門的・技術的な相談が無料でできる。基本計画についてのアドバイスや長寿命化改修のノウハウといった計画・設計、PPP/PFI手法等や脱炭素化に関する整備・施工、学校設計のファシリテーターとなる民間事業者・研究者の紹介、教職員による学習空間の活用事例などの相談が可能。

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長野県教育委員会~共創空間で地域と協働 環境整備から「学びの改革」へ

長野県教育委員会は国に先駆けた2018年、「これからの学びにふさわしい学習空間デザイン」について、多様なジャンルの有識者で構成された「県立学校学習空間デザイン検討委員会」を立ち上げ、最終報告書「長野県スクールデザイン2020(20208)を提言。探究的な学びなど多様な学習スタイルに対応する学習空間への転換や、地域と協働できる共創空間の創出など、新しい学校の具体的なイメージを示した。課題発見・調べ学習空間の「メディアセンター」に「小教室」を併設し、討論・情報収集を連続して展開できる空間構成や、普通教室に面して学習や談話ができるフレキシブル・ラーニング・エリア(以下FLA)などだ。

報告書の実装を目指し、「学びの改革」を環境整備から実現する「長野県スクールデザインプロジェクト(NSDプロジェクト)」を始動。202210月に特別支援学校2(松本養護学校、若槻養護学校)11月に高等学校2(伊那新校、小諸新校)の基本計画作成を支援する事業者を決定。教員や地域、行政等幅広い人々の参画を促すWS(ワークショップ)の実施やファシリテーターの役割も担う。

各校の特徴と事業者の提案内容をまとめた。

■特別支援学校2校 202728年に開校

松本養護学校は知的障がいの児童生徒を対象とする特別支援学校。小学部・中学部・高等部・重度重複部からなり、校地内に寄宿舎を併設。普通教室を雁行配置(前後にずらした配置)にし外部空間の各所コーナーを利用した居場所作りや、教室と動線の間に緩衝帯となる前庭を配するなど、1人ひとりの興味や障害に応じて安心して過ごせる空間作りを提案。WSで近隣小学校と交流・地域連携も図る。工事費は約45億円。開校予定は2028年。

若槻養護学校は、病弱・身体虚弱の児童生徒対象で小学部・中学部・高等部及び入院している児童生徒が在籍する特別支援学校。提案では、明るい小屋のような「ハット」、隠れる洞窟のような「ケーブ」など、児童生徒が心身の状態に応じて選ぶことのできる遮音・防音性のある小空間(休憩・クールダウンスペース)を各所に配置。工事費は約36億円で2027年開校予定。

■高等学校2校を202628年に新設

高等学校は、各地域の住民参加による検討過程を経て再編・整備計画を策定。2校はいずれも統合して新たに誕生する。

伊那新校は、伊那北高校と伊那弥生ヶ丘高校の統合新校。探究・協働学習や、自主的な活動のできる学校施設を目指す。提案では、社会科学、自然科学、人文科学とエリアを分け、生徒自らが選択した学習を深く追求できる機能を実装。地域や若い世代を巻き込んだWS「スクールデザイン会議」を発足し、計画段階から完成後まで継続的に実施。2028年度開校予定。

小諸新校は、小諸商業高校と小諸高校を、普通科・商業科・音楽科の3学科を持つ学校に再編統合。小諸商業高校敷地で増築と既存校舎改修。提案では、新校舎と既存校舎を回遊動線でつなぎ3科の融合を促す。廊下側建具の工夫で既存校舎改修でもFLAを確保し、連携・交流の場を創出。2026年度開校予定。

和歌山県串本町~文科省事業で統合・新設 2026年4月開校予定

文部科学省2022年度「新しい時代の学びの環境整備先導的開発事業」に採択されている串本町(小学校9校、中学校4)は、20226月「(仮称)串本町立串本統合小学校基本設計・実施設計業務」の公募型プロポーザルを実施して8月に事業者を決定(綜企画設計)した。学童保育・地域連携施設を学校の顔として全体を新たなまちの起点と捉えた点、中心に図書館を配置した一体的な空間構成、木造平屋の計画として棟ごとに特色を持たせた点などが評価された。

急速な少子化に加え、南海トラフ地震の津波災害の懸念から、串本小学校と橋杭小学校の2校を統合し、高台へ移転・新設する。避難所機能を備える他、学童保育施設の複合化と地域も利用できる体育館を整備。学級数は普通学級6クラス、特別支援学級3クラス。20264月の開校を予定。設計予算額は198011000円。

今年度は大学教授など学識経験者を擁する協議会の設置と先進校の視察等を実施。今年度末には基本設計を完了して検討内容を反映した報告書を文部科学省に提出する見通し。

北海道安平町~ICTでセキュリティラインを明確に 特別教室を地域と共有

安平町は2018年北海道胆振東部地震により被害を受けた早来中学校と老朽化している早来小学校を統合し、義務教育学校を20234月に開校する。

新しい学校作りにあたり、企業3(教育環境計画の専門家集団である教育環境研究所、アトリエ系の建築設計を主とするアトリエブンク、ICT環境設計を担うteam Lab)と協力。「みんなの学校」という考えの下、開放・共有・専用の3エリアで構成。誰でも使用できる開放エリアには図書館を配し、町のリビングを設ける。共有エリアは音楽室(スタジオ)、家庭科室(キッチンスタジオ)、図工室(アトリエ)などで、授業がない時間帯は地域住民が使用できる。児童生徒と地域住民の活動を安全に区分けするため、ICTを用いて指定の時間に自動的に鍵が開閉する仕組みを導入。地域住民はインターネットから使用可能な教室を予約する(スマートスクールシステム)。互いの活動の様子が見え、学校と地域の共創につながる。概算事業費は計3624438000円。

教育家庭新聞 新春特別号 2023年1月1日号掲載

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