ICT支援員サービスや学校インフラ構築により静岡県の教育DXを支えてきた遠鉄システムサービスが、校務効率化システム「みらい校務ターミナル」と学習データ蓄積・活用サービス「学びパートナー支援」を開発し、全国への提供を開始している。開発の経緯と既存サービスとの違い、それぞれの製品の特長について、同社教育デジタル課に聞いた。
文部科学省では、汎用的なクラウドツールの活用を推奨しています。しかしGIGAスクール構想以後、ICT支援員として多くの学校に入るなかで、各種ツールを活かしきれていない教員や、ツールの多さに混乱する教員の声を耳にすることがありました。
加えて、ICT支援に関する予算が年々縮小しているにもかかわらず業務改善が進まないケースもあり、教員の業務改善に直結する新たな提案の必要性を感じていました。
弊社の強みは、延べ2万回以上にのぼるICT支援員による学校訪問の経験と知見です。日々寄せられる教員の声から「新しいツールで新しいやり方を覚えるのではなく、今使っているツールを、より使いやすくすること」「どの学校に異動しても同じ様な使い勝手であること」が業務改善につながるのではないかと考えるようになりました。
こうした現場からの発想を基に開発したのが、Microsoft 365を主に校務で利用している学校向けの「みらい校務ターミナル」と、Google Work space for Education(以下、Google Workspace)を最大限に活用しながらDXをサポートすることを目的にした「学びパートナー支援」です。
【みらい校務ターミナル】
Microsoft 365を校務向けに再構成
Google Workspaceを最大限に活用しながらDXをサポートすることを目的に開発したのが「学びパートナー支援」です。

校務DXツールや教育ダッシュボードの提供という点は、みらい校務ターミナルと共通しています。これに加えて学校の多様なニーズをカバーする40種類以上の豊富なダッシュボードを搭載している点が特徴です(表2)。
日々の心の健康観察やいじめ・困りごとの実態アンケート、生活リズム、学習時間などを可視化し、児童生徒の小さな変化やSOS、問題を早期に発見できる仕組みを整えています。
児童生徒が自ら学びを進める授業において「学習の進捗を一目で把握したい」という声から生まれたものが「自己調整学習支援ダッシュボード」です。児童生徒が自身の進捗状況を黒板に記入し、教員が写真で記録していた実践をデジタル化。目標への到達状況や個人の学習計画・ふり返りの変容を時系列で確認できるようにしています。
現在、特に力を入れているのが、児童生徒の自由記述をAIが分析し、優先度や支援方針を提案する機能です。
授業後のふり返りや困りごとを把握するアンケート等において、教員がすべての記述に目を通し、一人ひとりへの最適な対応をゼロから整理・分析・検討するのはかなりの時間を要します。そこでAIが子供たちの考えや思いを、文部科学省や各自治体の基準等をもとに整理・分析し、次のアクションへのヒントを提案することで、教員の「考える」をサポート。見逃し防止と負担軽減の両立を目指した開発を進めています。
静岡県菊川市との連携協定を始めとして各地で実証に着手しているところです。
この一年で多くのツールを開発しました。これは、教員のクラウドツール活用が進むにつれて「こんな風に利用したい」という声が増え、それを一つひとつ形にしてきたためです。
今後も可能な限りご要望に応える開発や改善を進めていきます。AI分析機能をはじめ開発中の機能も多いため、より多くの方のご意見を伺いながらブラッシュアップしていきたいと考えています。いずれかの製品を使ってみたい、もしくはAI機能や各種ツール開発に携わりたいという自治体や学校は、ぜひお問合せください。▼問合せcai@ess.co.jp
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2026年6月22日号掲載