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教育ICT

児童と共に「良い問い」について討議 教科書の読み取りスキルの向上<岡山市立平井小学校 遠藤隆平教諭>

2025年6月4日

3月27日、岡山市内で第119回教育委員会対象セミナーを開催した。

安藤明伸教授・広島工業大学は生成AIの教育活用について、山本朋弘教授・中村学園大学教育学部はGIGA2期の個別最適な学び・協働的な学びの質的向上について講演。愛媛県教育委員会はメタバースを活用した不登校支援、岡山市立平井小学校は端末とクラウドを活用した授業改善、岡山県立岡山芳泉高等学校は生成AIを活用したアクティブ・ラーニング型授業と校務効率化の取組を報告した。


岡山市立平井小学校 遠藤隆平教諭

岡山市立平井小学校の遠藤教諭はGoogle for Education認定トレーナー、Canva認定教育アンバサダーなどに認定されており、1人1台端末とクラウドを活用した授業改善を推進。2024年度は公開授業を3回実施し、計150人の学校関係者が参観した。

…・…・…

ICTを活用した授業改善については、文科省YouTubeに公開されている「これからの授業どうするの!?」を基に、自分で選択して自分で決める、自己選択・自己決定を意識し、課題設定・情報収集・整理分析・まとめ表現の探究的な学習のサイクルを回しながら進めている。

子供たちが自ら学ぶ力を身につけることが授業改善の核心であり、教員は学び方のスキルを育成する伴走者であると考えている。自分で学ぶためには、明確な目標の設定や評価基準を共有することが重要だ。

 

自ら学ぶ力を育む

具体的にまず課題設定の場面では、付せん機能で子供の疑問や気付きを共有し、分類して意見を整理。その中から課題を設定する。子供たちの様々な視点や意見を取り入れることで授業が広がり多様な見方が育つ。1人で考えるのではなくクラス全体の考えを活用する「集合知による課題づくり」により、課題設定力の育成を図っている。学習課題を全体で共有し全員が同じ方向を向いてから、各自めあてを立て、それぞれのアプローチで課題の答えを導いていく流れだ。

また、各自でめあてを立てるために、子供と共に「良い問い」について討議。一問一答ではなく関連付けが必要な問いの設定や、様々な立場から課題を考える視点を促している。

情報収集力を育むために大切にしているのは教科書の読み取りスキルの向上だ。新出語句や繰り返しの語句、疑問点、本文と資料の関連付けなど重要箇所への線引きの考え方について子供と共有。自分で情報を集めて学べるよう、教科書を基盤に情報収集力を高めている。司書の協力のもと図書資料を活用したり、ルビふりされたデジタル教科書やNHK for Schoolなど子供が特性に合わせて学びを進めていけるよう多様な資料も用意している。

整理・分析の場面においては、手段としていつでも使えるよう、複数の思考ツールをクラウド上に用意。初めから子供に委ねるのではなく1学期にクラス全体で活用する体験を積み、目的に応じたツールを選択できる力を育成。教員と共に考える一斉授業も大切である。

整理・分析には白紙の状態で子供が自由に使える「オンラインホワイトボード」を活用。子供の学びを深めるのに効果的だった。思考ツールを自由に選択でき、過去の学習データとの関連付けや、情報の移動や組み換えも容易だ。子供たちは調べたことや友達から聞いたことなどの自分の知識を関連付け、単元全体の情報を整理しながら、学習課題の答えに迫っている。相互参照によって、友達がどの資料から何を読み取っているのかなどの学び方を学ぶこともできる。クラウドで一覧で確認でき、教員はリアルタイムでフィードバックや支援ができる。

教科の見方・考え方に沿って自分で調べるスキルを身につける時間も設定。資料を読み取るときに着目するポイントについて子供と話し合い、「スキルカード」としてまとめている。

まとめ・表現の場面において多様な表現ができるのは端末の1番の良さだ。動画制作、スライドによるプレゼンテーション、ポスター・ホワイトボード形式でのまとめなど子供たちは主体的に様々な表現方法を選択している。

 

知識が結びつき深い理解に

本時のまとめ、学習計画表、学び方、授業ごとのまとめをクラウドに一覧で表示し、学びの蓄積とふり返りに活かしている。

一人一枚の学習計画表はめあて・学び方・まとめ・ふり返り・理解度を記入。

学び方についてはチェック表を用意。下線を引く、友達と一緒に学ぶ、資料を使うなど、自ら学びを進める中でいろいろな学び方を意識できるようにしている。

教科の見方・考え方に沿って資料を読解するための「スキルカード」を使い、本時で何を意識して資料を読み取ったかについても蓄積するようにしている。

クラウド上で確認できるため、スタンプなどで教員の評価もしやすくなった。

自ら学ぶ力を身につけるための授業改善を通して、子供自身の知識が結びつき深く理解する姿が見られるようになった。休み時間や家庭学習でも取り組むなど主体的に学ぶ姿勢も育まれている。子供が自ら学びを進めるためには、何を身につけさせたいのかを明確にするための教材研究がなにより重要であると実感している。

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最新号見本2025年05月16日更新
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