「米・米粉の消費拡大と学校給食への期待」をテーマに、農林水産省農産局穀物課の岸本達郎氏と竹内茉純氏が講演。お米や米粉が、アレルギーへの対応や大量調理に適した食材であることなどを伝えた。
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写真左:岸本達郎氏、写真右:竹内茉純氏
米の消費は年々減少し、ピーク時(1962年)は1人当たり年間で118.3㌔(1日5杯)だった消費量が、2023年は51.1㌔(1日2・3杯)に減少している。
ごはん食は、栄養的側面としては、日本人の肉・魚に次ぐたんぱく質摂取源で脂質が少ないことなど、SDGsの側面では唯一の自給可能な穀物であり食料自給率の向上につながること、田んぼが環境保全や防災機能の役割を担っていること、どんな料理・食材にも合いバランスの良い食事が簡単に実現できることなどの特長が挙げられる。
お米を中心とした日本型食生活を子供たちに受け継いでもらうためにも、学校給食での米飯実施は重要で、米飯給食は2023年には週当たり平均3.6回実施された。
一方で米粉は近年の健康志向等を背景に需要が伸長。従来からの需要に加え、製粉技術が向上し米粉パン、米粉麺など用途が拡大。2019年は3.1万㌧だったところ2024年は5.6万㌧へと8割以上も増加している。
米粉は①もっちり・しっとりした食感、②グルテンフリー、③油の吸油率が低い、④調理・後片付けの負担を軽減、⑤食料自給率のアップに貢献できることなどが特長。アレルギーへの対応やダマになりにくく大量調理向きであることから、調理の効率・利便性の向上といった側面からも学校給食への活用をより促進したい。
山形県では県内市町村の約7割が学校給食で米粉パンや米粉中華麺などを供給している。新潟県胎内市は早くから米粉の普及に取り組み、2017年に「胎内市米粉の普及促進に関する条例」を制定し米粉の日や記念日には学校給食で米粉の献立を提供している。岡山県は2010年から県内の全小中学校の学校給食に、同県内産米粉を使用したソフト麵・中華麺を導入している。熊本県は2009年から同県内産米粉を使用した米粉パン、米粉入りうどんを学校給食に導入。米粉を活用した学校給食レシピ集を独自に公開している。
献立に米粉を使うことで新たな選択肢が広がっている。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2025年8月11日号掲載