木の葉もすっかり散り終え、季節は冬本番に向かいます。山に積もった雪が、平地で風花(かざはな)として舞っている事も見られます。
雪は昔から花にたとえられ、結晶の美しさから「雪の花」「六華」(りっか)、香りがない花として「不香の花」(ふきょうのはな)と表現され、冬の楽しみの一つになっていたようです。江戸時代には雪が積もる静寂の景色や月の光を受けた雪明りを鑑賞する「雪見」が風情のある粋な遊びの一つとされました。
厳しくも美しい雪の世界で生き物たちは冬ごもりを始めます。熊蟄穴(くま、あなにこもる)=冬眠に備え、エサをたっぷり食べた熊が穴にこもる頃。シマリスやカエル、イモムシも冬ごもりを始めます。現在の熊はどうでしょうか?
12月は師走とも呼ばれ、いつも落ち着いている僧侶まで走り回るほど忙しいことから言われたようです。特に冬至は一年で最も昼が短い日で、冬の真ん中、真冬の始まり。この日を境に太陽が復活し始めるということから「一陽来復」(いちようらいふく)=幸運に向かうともいわれます。この時期に欠かせない柚子は、黄色く色づき太陽の復活、温かさへの思いが込められています。
季節の花として、千両、万両、シクラメンやポインセチアが出回ります。旬の食材としてゆり根やくわい、大根、金時人参、下仁田ネギ、蕪、柚子があり、魚介はアマダイ、鱈、カワハギ、伊勢海老が出回ります。
冬至に欠かせない「南瓜と長芋の茶巾絞り」を作りました。材料(6個分)は南瓜(200g)、長芋(150g)、塩麹(小さじ1/3)、上白糖(10g)、レーズン(30g)。

材料を準備

レンジアップ前
作り方は、南瓜、長芋は皮をむき一口大に切り、それぞれ耐熱容器に入れ電子レンジで加熱する。柔らかくなったら塩麹、上白糖を半分ずつ加えよくつぶす。レーズンは熱湯につけて戻す。ラップに南瓜、長芋を1/6ずつのせ中央にレーズンを入れ、くるむように茶巾にする。

茶巾絞り

出来上がり
【食育メモ】冬至に南瓜を食べるのはなぜでしょう? 一年で最も昼の時間が短いので昔から、運気が下がり、体も弱ると考えられていました。そのため幸運を呼び込み無病息災を願う風習が生まれました。栄養のある食材からパワーを分けてもらうため、「ん=運」が重なる食品を食べるようになりました。南瓜(なんきん)は夏場の食材を保存し、甘みが増し、体を温めてくれるベータカロテンや免疫力を高めるビタミンCが豊富で、野菜不足にならないようにとの配慮です。
【著者】フードディレクター・澤坂明美=管理栄養士。女子栄養大学香友会と業務提携し『プロカメラマンとフードコーディネーターに教わる料理写真講座』を継続開催、女子栄養大学認定料理教室等を主宰する。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2025年12月8日号掲載