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防災教育への視点 一般財団法人防災教育推進協会 理事長 濱口和久~第10回 意外な盲点「平時の備え」

2025年6月16日
連載 防災教育への視点

アナログな備えが役立つ面も

皆さんは家族や親戚、重要な相手の電話番号を記憶していますか。

携帯電話(スマートフォン)を1人1台持つ時代の前は、電話といえば家庭にある黒電話、街中の公衆電話、会社等の電話しかなかった。その頃は、親戚や重要な相手の電話番号はほとんどの人が記憶していた。

デジタル機器である携帯電話は便利な通信手段の道具だが、充電する場所がない、停電して充電することができない状況下では、バッテリーの充電が切れてしまうと使用できなくなる。特に事故や災害時など緊急時に、電話番号を記憶しておかないとバッテリーが切れたら電話番号を調べることすらできなくなる。

平時から最低限必要な電話番号は手帳などに書き写しておく(電話番号のバックアップ)ことが重要だ。

「文明が発達すればするほどリスクが拡大する」という警句があるが、まさにアナログ的な備えが必要なのだ。

最近は電気自動車(EV)を購入する人もいるが、ガソリンや軽油で動く化石燃料車を所有している人がまだまだ多い。皆さんは自家用車の燃料はどの段階(残量)で給油していますか。「半分になったら」、「残り三分の一で」、「給油のランプが点灯してから」など、人それぞれ対応が分かれるに違いない。ちなみに、タンクの半分になって給油しても、給油のランプが点灯してから給油しても、1カ月の燃料代は同じだ。

災害時にガソリンスタンドで給油の順番を待つ自動車の長い列をニュースでよく見る。しかし、ガソリンが半分以上残っていれば、給油の順番を待つ列にすぐ並ぶ必要はない。

いざというときのために、ガソリン残量が半分以下になったら、必ず給油する習慣を身につけておくべだろう。

仮に自宅が停電したとしても、車は自宅よりも狭いスペースだが、エンジンがかかれば夏は冷房、冬は暖房の機能があり、暑さ寒さをしのぐことができる。携帯電話などの充電もできる。ラジオやナビゲーションのTVなどで情報収集も可能だ。当然、車本来の目的である移動手段としても使用できる。

最近は、車の販売店が納車のときに緊急時の防災グッズセットをサービスで提供するところもあるが、個人でも携帯トイレなどの防災グッズを購入し、平時から車のトランクに入れておくことも必要である。

 

教育家庭新聞 教育マルチメディア 2025年6月16日号掲載

第1回 日常防災の必要性

第2回 正しい避難行動と防災知識

第3回 自然災害への向き合い方

第4回 史料から災害を読み解く

第5回 「稲むらの火」と「世界津波の日

第6回 専門性とスキル 国が認証へ

第7回 大雪と安全対策

第8回 リスボン地震と国家の衰退

第9回 災害医療支援船と病院船

第11回 財産を守る住宅の耐震化

第12回 富士山噴火のリスク

第13回 竜巻から身を守る行動とは

第14回 消防団を知ろう

第15回 就寝中の地震のリスク

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