大地震が発生するたびに多くの家屋が被害を受ける。昨年1月1日に発生した能登半島地震(最大震度7)では、木造住宅の倒壊が相次いだ。住宅被害(全壊・半壊・一部損壊)は、石川県の昨年11月12日時点での集計によると9万1581戸に上り、地震の犠牲者数は「家屋倒壊」によるものが半数以上だった。
珠洲市の泉谷満寿裕市長は市内の住宅被害について、「壊滅的な被害だ。珠洲市は6000世帯ほどが暮らすが、4000から5000世帯は自宅に住むことができない」と述べている。
住宅は半壊以上の被害を受けると、元の状態に修復することは非常に困難だ。被害を軽減するには住宅の耐震化が重要な事前対策となる。能登半島地震では、耐震基準を満たさない木造住宅が多かったことが、被害を大きくした要因の一つとされている。
昭和56(1981)年に制定された新耐震基準は、震度6強~7でも倒壊しない強さが求められているが、基準を満たす住宅の割合(耐震化率)は輪島市で45%(令和元・2019年度)、珠洲市で51%(平成30・2018年度)と、全国平均の87%(同年)を大きく下回っていた。
地震大国・日本では、耐震性に優れた住宅を選ぶことが重要になる。新築の場合、施工不良などを除けば、新耐震基準で建てた住宅であれば問題はない。しかし昭和56(1981)年以前の旧耐震基準で建てられた中古物件などを購入する場合は、注意が必要だ。
一方で、単純に築年数だけでは安全性を判断できない。新耐震基準と旧耐震基準の違いをよく理解した上で、建築工法や普段のメンテナンス状態を踏まえて、総合的に安全性が確保されているかが重要になってくる。
少しでも安全性に不安が残る場合は、専門家に耐震診断を依頼し、問題が発見されたら耐震リフォームを行うことをお勧めする。自治体によっては耐震リフォームの助成(補助金)をしているところもあるので、自分の住む自治体のホームページ等で確認してみよう。
建物の耐震診断に加えて、土地の性質についても調査しておく。新耐震基準の住宅でも液状化などにより大きな被害が出る可能性がある。
特に水を連想する「川・沼・池」のような漢字が使用されている住所に住んでいる場合は注意が必要だ。一生の中で多くの時間を過ごすのが住宅である。常に安全に暮らすためにも住宅の耐震化は必要である。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2025年7月21日号掲載