2018(平成30)年9月6日午前3時7分、北海道の胆振地方中東部を震源とする地震が発生。地震の規模を示すマグニチュードは6.7。観測史上初めて、北海道で震度7を記録した。気象庁はこの地震の名称を「平成30年北海道胆振東部地震」(以下、胆振東部地震)と命名した。
この地震では、震源地周辺で広範囲に大規模な斜面崩壊が発生したほか、震度6弱を観測した札幌市などで液状化現象が見られ、住宅や道路に大きな被害が出た。道内では44人が犠牲となった。この地震の影響で複数の発電所が停止し、大規模停電が発生したことで、北海道の空の玄関である新千歳空港をはじめ道内の空港はすべて使用不能になり、JR北海道の各路線、札幌市内の地下鉄も運休した。
大きな自然災害にともなって大規模停電が発生することはこれまでも度々あったが、胆振東部地震のケースでは、地震発生後に北海道全域が停電するブラックアウト状態に陥った。停電によりスマートフォン(携帯電話)の充電ができなくなり、安否確認の連絡や災害情報の収集が著しく難しくなった。水道も最大約6万8000戸で断水したことで、飲料水の不足に加えて、トイレの使用にも支障をきたした。
胆振東部地震と同じように大きな地震が発生し、就寝中に停電となれば室内は暗闇状態になる。地震の揺れが収まり、暗闇状態でベットや布団から移動するときは注意が必要だ。床にモノが散乱している可能性がある。特にガラスの破片や突起物などが散乱している場合に素足で行動すると、足裏などをケガする恐れもある。地震の揺れではケガを免れても地震後の行動でケガをしたら意味がない。素足で移動しなくていいように枕元にスリッパなどの上履きを置いておこう。
日常生活でコンタクトレンズを装着している人も、寝るときはコンタクトレンズを外していると思う。暗闇状態でコンタクトレンズを装着するのは容易ではない。枕元にすぐに使用できる眼鏡を置いておくことで、コンタクトレンズを装着しなくても、暗闇に目が慣れてくれば、行動するときに危険を回避できる。
一昔前までは暗闇を照らすモノとしては懐中電灯が一番便利だったが、スマートフォンのライト機能を使用すれば、懐中電灯の代用になり暗闇を照らすことができる。スマートフォンはバッテリーの充電が半分以上残っている状態にして枕元に置いておこう。
地震はいつ起こるか分からない自然災害だ。最も無防備な状態が就寝中だということを、肝に銘じておくべきだろう。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2025年12月8日号掲載