町内会や自治会単位で結成される住民の任意団体である自主防災組織は、消防団と同様に地域防災力の中核的存在になっている。
平時には防災に対する心構えの啓発、災害を未然に防ぐための地域活動、災害発生に備えて地域を知るための活動(避難場所などの把握)、災害発生時の行動を習得する活動(消火訓練、避難訓練)、災害発生時の活動に備える準備(機材や備蓄品の管理)などを行っている。災害時には、情報収集・伝達活動、初期消火活動(消火器、可搬式ポンプなどの使用法)、避難および避難所運営活動(避難地までの誘導や介護が必要な人への援助、避難所の運営・管理)、救出救護活動(負傷者救護)、給食給水活動などを担うことになっている。
阪神・淡路大震災で地域防災力の重要性が再認識されると、災害対策基本法が改正され、この時から自主防災組織の育成が行政の責務の一部として明記されるようになった。その結果、各自治体は自主防災リーダー養成の研修や訓練などを積極的に開催し、全国的に自主防災組織の結成が促進されていった。
読売新聞に「自主防災組織 知ってる? 『組織率8割』というけど…」という見出しで、次のような内容が紹介されている。
「組織率が100%とされる東京都練馬区で暮らす男性会社員(32歳)は『自主防災組織なんて、聞いたこともない』。組織率100%の荒川区のうち、970世帯、1740人が暮らす真土町会では、訓練参加者は毎回20〜30人しかいない。千葉県山武市では、市内38組織を調べたところ、回答のあった31組織中、23組織が『何をしていいか分からない』などの理由で活動していなかった」(2014年5月26日付の記事の内容を要約)。
この記事を読む限り、自主防災組織の活性化が急務であることがうかがえる。このまま中身が伴わなければ、組織率が全国で8割を超えても、災害時に何の役にも立たない組織となるだろう。これは12年前の記事だが、現在も改善されていない。
宮城県仙台市宮城野区にある福住町町内会の自主防災組織では、2003年に「できるだけ行政に頼らず、初期段階にかけては自分たちで乗り切る」ということを念頭に、訓練内容を毎年変え、参加者にとって有益となる防災訓練を実施してきた。ライフラインの停止を想定し、避難生活に必要な発電機、プロパンガス、暖房器具、食料、飲料水などを集会所に備蓄し、行政に頼らない備えを構築。そのおかげで、東日本大震災が起きた日の夜に住民が集会所に集まってきた時、慌てることなく対応することができた。
ぜひ参考にしてもらいたい自主防災組織の活動事例である。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2026年6月22日号掲載